樋口美沙緒『
愛の罠にはまれ! 』
オオスズメバチ出身の篤郎は、過去に深く傷つけた義兄・郁への罪悪感から立ち直れず、
幸せになってはいけないと自分を責め続け生きていた。
そんなある日、ヘラクレスオオカブト出身の兜が目の前に現れ!?
2014年9月刊。
楽しみに待っていた、虫シリーズの第4弾。
第1作目に出てきた兜先輩と、3作目に出てきた郁の弟、篤郎の話。
篤郎って嫌な子がいたけど…なんだったっけ?的な私の
淡い記憶でも大丈夫、すごく楽しめました。
というか、泣けました。
何回泣いたことか。
篤郎は、昔自分が郁にしてしまったことを後悔し、
自分を罰するように生きています。
保育園で子供たちを可愛がり、でもだれとも
深いつながりを持たないようにして。
子どもたちを自分の昔と重ねている姿に涙し、
過去の両親からの扱いに傷ついているところで涙し、
兜からの仕打ちに涙し…。
本が厚くて読むのに1時間半くらいかかったのだけど、
その間、別世界に行って涙し、
最後は幸せに終わり、とても、スッキリしました。
「愛って痛いんだね。やめようとしてもやめられないんだって、
初めて知った」
兜が変わって、よかった。
兜がそんな歪んでいたとは知らなかったけど。
ところでお話にでてきた「ボルバキア症」というのが、
本当に存在するものだとしってびっくり。
ウィキペディア ボルバキア昆虫の雄を雌化させるようなことをするらしい。
今回も妊娠ものでした。
最初にこのシリーズの1作目を読んだときは、1人目の育児にてんやわんやしてて、
せっかくBL読んでるのに、現実の世界を思い出させる妊娠ものは
やめてくれ、って思ったものでした。
それが、自分の子が3人になった今じゃ、赤ちゃんが生まれるとうれしい。
(このお話ではまだ生まれてなかったけど)
人は変わるものだ…。